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梅
鶯
春月
雛
みなさまにもなじみの深い作者の自筆短冊をご紹介します。
No.003877
野口 雨情
( のぐち うじょう )
空に春哉お日和つゝき燕来る日も 間はなかろ 雨情
北原白秋、西條八十とともに、童謡界の三大詩人と言われる野口雨情。日本人であれば、彼が作詞した歌を、子どものときにたっぷり耳にしているでしょう。「十五夜お月さん」「七つの子」「赤い靴」「青い眼の人形」「シャボン玉」「こがね虫」「証城寺の狸囃子」など、現在でも歌いつがれる名曲を多数作詞しています。簡潔でありながら叙情性にあふれた雨情の詩は、いまも多くのひとびとのこころに響いています。
雨情は新民謡の創作にも力を注ぎました。この短冊に書かれた詩のもとになったのも、静岡県富士町(現富士市)のために作った「富士町民謡」の一節、「富士の白雪お日和続き燕来る日も間はなかろ」。
思わず口ずさみたくなるようなリズム感にあふれた本作品。親しみやすい簡単なことばで、うららかな春の日のおとずれを見事に表現しています。
No.003876
田山 花袋
( たやま かたい )
河そひの土手のさゝ原さや/\に よはにふりにし雪そのこれる 花袋
1907(明治40)年に発表された『蒲団』は、日本における自然主義文学、あるいは私小説の出発点とされています。作者の田山花袋が、自らの経験を赤裸々に描いたこの小説は、当時の文壇に大きな衝撃を与えました。大正期に入ると、新鋭作家の台頭によって文壇の主流からは外れていきましたが、同じく自然主義小説を書いた島崎藤村とともに、センセーショナルな題材ばかりでなく平凡な日々を淡々と描く作風へ向かいました。
さて本作品は、そんな花袋の日常を詠んだものなのでしょうか、川沿いの土手に昨夜降った雪が残っている、という爽やかな朝の情景がうかがえます。一般的には『蒲団』のイメージが強い花袋ですが、日常の一面を鮮やかに切り取った本作は、また違った彼の一面を私たちに教えてくれます。
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