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桜
柳
卯
ほととぎす
みなさまにもなじみの深い作者の自筆短冊をご紹介します。
No.003937
高村 光雲
( たかむら こううん )
和気堂満 八十一翁高村光雲
和気堂に満ちる。彫刻家・高村光雲81才の作です。東京美術学校を退職後、名誉教授として余生をすごした時期にあたります。光雲は明治23(1890)年から東京美術学校に勤務、翌年に彫刻科教授、帝室技芸員に任ぜられたという経歴の持ち主ですが、その道のりは決して易しいものではなかったようです。
江戸の町人の子として生まれ仏師に弟子入りするも、廃仏運動の影響・象牙彫刻の流行により、木彫が衰え生活の苦しい時代がありました。それでも西洋美術の写実主義を積極的に取り入れ、伝統的な木彫を近代彫刻としてよみがえらせることに成功しました。
のどかな春の日、堂の中になごやかな空気が満ちている。光雲の晩年も、このように心おだやかな暮らしだったのでしょうか。たった四文字の書ですが、春の訪れにふさわしい一品です。
No.003936
烏丸 光広
( からすまる みつひろ )
月前花 立かくす月の霞にうれしきも 散もひとつの花の春かな 光広
江戸初期を代表する文化人のひとり、烏丸光広の短冊です。
江戸時代初期には、後水尾天皇を中心とした「寛永サロン」とでも名づけるべき文化人たちの集まりがありました。八条宮智仁親王、本阿弥光悦、小堀遠州、金森宗和、松花堂昭乗、近衛信尹・信尋父子、石川丈山、沢庵宗彭などがその中心にあり、烏丸光広も、そのひとりでした。細川幽斎(藤孝)に古今伝授を受けた光広は和歌を能くし、書にも優れたものを多く遺しています。大変に器用であった光広は、定家流、光悦流などの書も能くしましたが、本短冊では、「光広流」とも言うべき、端整でありながらも自由闊達な書風が魅力です。
和歌の大意は、「おぼろに霞む月に、花が咲いてうれしいことも、花が散ってさびしいこともひとつになって、それが花の春というものであることよ」。光広らしいおおらかさが感じられる佳作です。
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